マンション住民は蚊帳の外? 「民泊サービス」のあり方議論 – マンション選び研究所

民泊問題は都市部のマンションにおける問題とも言えるのに、「民泊サービス」のあり方検討会のメンバーにマンション住民の利益代表が入っていないではないか!というのが本日の今さらながらの問題提起。

もくじ

  • 東京23区では6割近い世帯がマンションに住んでいる
  • 「民泊サービス」のあり方検討会メンバーにマンション住民の利益代表がいない
  • マンション管理規約と民泊の関係整理を見送った国交省
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東京23区では6割近い世帯がマンションに住んでいる

全国でAirbnbに登録されている物件のうちの4分の3が1都2府の物件である。

建物タイプ別にみると、マンションが全体の約7割を占めている。一軒家は約2割に過ぎない(次図)。

これらの数値を踏まえると、都市部のマンションにおける民泊問題の解決に注力する必要があることが分かる。

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闇民泊の全体像は共有化されているか?」より

ところが、  「民泊サービス」のあり方に関する検討会では、「旅館・ホテル業界vs Airbnb」という視点での議論は時間をかけてなされているが、マンション住民の視点からの議論があまりなされていない印象である。

東京23区では439万世帯のうち6割近い世帯がマンションに住んでいるし、大阪市では128万世帯のうち7割近い世帯がマンションに住んでいるのにである(次図)。

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「民泊サービス」のあり方検討会メンバーにマンション住民の利益代表がいない

いまさらながらではあるが、「民泊サービス」のあり方に関する検討会の委員(構成員名簿)のなかに、マンション住民の利益代表が入っていないことの問題を指摘しておきたい。

委員の中には全国消費生活相談員協会理事長(吉川萬里子委員)がおられるが、マンション住民の利益代表とはチョット違うのではないか。

全12回の会議の説明者を調べてみると、第6回(2月29日開催)に唯一、「管理組合法人ブリリアマーレ有明Tower&Garden」が「民泊禁止について管理規約改正への経緯」(PDF:178KB)を説明しているだけである(次表)。

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民泊サービスにおける規制改革」をテーマとした公開ディスカッション(3月14日開催)の説明者には旅館・ホテル業界とAirbnbは含まれているが、マンション住民の利益代表はいない(次表)。

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ただ、マンション住民の利益代表の候補としては、「マンション管理組合理事長勉強会(RJC48)」くらいしかいないのかもしれないが――。

マンション管理規約と民泊の関係整理を見送った国交省

自分の住んでいるマンションで民泊が営まれ、どこの誰だか分からないような外国人が自由に出入りすることを良しとする人はいるのだろうか。

残念ながら、「標準管理規約(専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない)を採用しているマンションであれば自動的に民泊は排除される」というような考え方は、国家戦略特区ワーキンググループの有識者の委員からの反論で潰されてしまった。

ことの経緯は、石井国交大臣の次の会見要旨から読み取れる。

(問)国家戦略特区での民泊事業と標準管理規約との関係と、民泊を行う際の留意点について国交省として業界団体向けに事務連絡をする準備を進めていらっしゃったかと思うのですが、こちらが見送りになった理由と今後の御対応をお願いします。

(答)「特区民泊とマンション管理規約との関係等」については、見送ったわけではございません
12月18日金曜日に開催された国家戦略特区ワーキンググループにおいて、民間有識者委員から異論が表明されたため、当面、事務連絡の発出をやめるということでありまして、これは当面の措置でございます
いずれにしましても、特区民泊事業については、先駆的なモデルとして展開されていくことが期待されているため、必要な調整については、しっかりと行ってまいりたいと考えております。
(略)

(問)1つ前の質問の確認ですが、マンションの管理規約と民泊の関係については、あくまでも考え方としては、特区であろうが法整備がなされようが、マンションを使った民泊については、管理規約の改正が必要だというお考えでよろしいでしょうか。 

(答)国土交通省としては、マンション標準管理規約では、「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」とされておりますけども、こういった規約のあるマンションで、特区民泊を実施する場合には、管理規約の改正が必要になると考えております
一方、先ほど申し上げた国家戦略特区ワーキンググループの有識者の委員からは、「むしろ、特区民泊は標準管理規約上の住宅に含まれるという見解を積極的に打ち出すような通知を発出すべき」という異論が表明されたため、更に説明が必要であると判断して、当面、事務連絡を出すことをやめるということにしたものであり、今後、私どもの考え方を御理解していただけるよう、引き続き説明に努めてまいりたいと思っています。

石井大臣会見要旨 2015年12月22日

また、国土交通省が3月14日に公表した「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)では、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会において検討を行っているところ」だとして、民泊の扱いについては一切触れられていない。

詳しくは、「民泊問題は先送り!改正マンション標準管理規約」ご参照。

まあ、第63回規制改革会議(5月19日開催)で出された第4次答申PDF:324KB)において、民泊運営者側に管理規約違反の不存在の確認が義務付けられることとなったので(P43~P44)、マンション住民としては少しは安心できるが。

国交省が有識者の委員を説得し「マンション標準管理規約は民泊を禁じている」旨の事務連絡を発信できていれば、もっと容易にマンション住民の利益は確保されたのではないのか。

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(本日、マンション広告なし)

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